代数学基礎〈R5-入学〉
授業コード
(科目ナンバリング
コード)
610386-01
(31107)
授業科目名 代数学基礎〈R5-入学〉担当者 村瀬 雅俊
開講期間 春学期 単位数 2 学年 1
区分
アクティブラーニング 発見的学習、対話的・双方向学習、主体的学びとグループ学習の実践、プレゼンテーションの実践
実務経験
備考
【授業目的】

「なぜ、数学を学ぶのか?」本講義では、「数学」を生命現象と捉えて、その「代数学的基礎」を学生同士の傾聴と対話を通して主体的に学びます。選択科目ですが、数理教育コースの学生さんには、「幾何学基礎」と合わせて選択することをお勧めします。きっと学ぶ楽しさと感動を実感します!教室は、昨年9月、新設の明るい雰囲気の8号館822教室です。
「数学とは何か?」2000年以上の歴史をもつ数学は、既に確立した固定的な体系ではありません。数学とともに長い歴史を持ち、数学的原理や概念を発見する方法・法則を学ぶ「発見科学」の側面もあるのです。本講義では、この数学に備わる「発見科学」の魅力を「生命現象」と比較検討することで、以後の数理コース講義に必要な「基礎」を学び、数学・代数学に限らずにあらゆる種類の問題に共通した「創造的・発見的学習方法」の習得を目的とします。

【授業内容】
第 1 回 実施日 
事前学習
シラバスを読んでください。
教科書3-5頁を読んでください。
課題「0に無限の可能性が秘められている」と聞いて、みなさんはどう考えるか。自身の考えをまとめておいてください。30分程度。
授業内容
簡単なオリエンテーション。
課題について、発表してください。学習と進化の本質を講義します。教科書22-25頁。
事後学習
学習のイメージを考える。
課題の内容を図示することを考えてください。30分程度。
参考文献
 
第 2 回 実施日 
事前学習
第1回課題の内容を図示することを考えてください。これが、第2回課題です。
教科書26頁、湯川秀樹の文章を読んでください。32-33頁、事実の客観性と主観性について、読んでください。30分程度。
授業内容
第2回課題について、発表してください。これまでの先入観が解体するという「脱学習」を体験してください。
事実の二面性について、教科書32-33頁を解説します。
事後学習
学習には、脱学習が伴うことを実感できますか。30分程度。
参考文献
 
第 3 回 実施日 
事前学習
教科書37頁と第3章のまとめ59頁を読んでください。
課題:みなさんが考える「安定」とは何か?具体例で示してください。30分程度。
授業内容
第3回課題について、発表してください。「感染」によって、進化することを学びます。その学びこそ、実は、「学習の転移」なのです。
事後学習
学習には、脱学習に加えて、学習の転移があることを実感できるよう、教科書を適宜読み直してくだっさい。30分程度。
参考文献
 
第 4 回 実施日 
事前学習
教科書67-70頁を読んでください。
課題:棒を「安定」に立てる方法を考えてみてください。30分程度。
授業内容
第4回課題について、発表してください。
いま、「学習していること」を「学習している」ことに気づきますか?これが、「メタ学習」という学びです。
事後学習
学習には、脱学習、学習の転移に加えて、メタ学習があることを実感できますか。
教科書を適宜読み直してくだっさい。30分程度。
参考文献
 
第 5 回 実施日 
事前学習
教科書83-86頁を読んでください。
課題:パラダイム転換とは何か、あなたの考えをまとめておいてください。例えば、砂粒を一定速度で落とし続ける思考実験を考えましょう。それは、どのように捉えることができますか?30分程度。
授業内容
第5回課題について、発表してください。
この課題を考えることで、それ以前の授業の本質を読み解くことを実践してみます。
事後学習
学ぶことと教えること、学ぶことと遊ぶこと、それらの本質的な同一性を実感してっください。30分程度。
参考文献
 
第 6 回 実施日 
事前学習
課題:教科書の第6章を適宜参考にして、「進化とは何か」について、各自の考えをまとめておいてください。30分程度。
授業内容
第6回課題について、発表してください。学習と進化の相同性について、講義します。
進化の拡張と収斂が、学習の拡張と収斂と対比できることを学びます。
事後学習
発展と崩壊が一枚のコインの表裏の関係であることが理解できますか。
学習には、脱学習、学習の転移、メタ学習、に加えて学習の拡張、学習の収斂があることを学んでください。30分程度。
参考文献
 
第 7 回 実施日 
事前学習
教科書145-148頁、例外からの法則の発見について読んでください。
課題:例外からの法則の発見と前回学んだ観点とを相互に「転移」できますか。30分程度。
授業内容
第7回課題について、発表してください。
獲得形質の遺伝について講義します。
事後学習
進化的な学習とは何か?考えておいてください。30分程度。
参考文献
 
第 8 回 実施日 
事前学習
課題:これまでの7回の講義を終えて、みなさんが何をどう学んだのか、自身の考えをまとめてください。課題として提出してください。30分程度。
授業内容
前半のまとめ
全員で、発表と討論と意見交換を実施します。
事後学習
自身の考えの変化を気づきますか?その点を振り返っておいてください。30分程度。
参考文献
 
第 9 回 実施日 
事前学習
教科書第Ⅱ部、第9章176-181頁を読んでください。
課題:ここで読み解いた観点を、学習や教育現場でどのように展開できるかについて自身の考えをまとめておいてください。30分程度。
授業内容
ものの見方を転換することで、世界が異なって見えることを講義します。みなさんの課題を発表してください。
事後学習
課題に取り組む前と後で、どのような変化を自覚したかについて省察してください。30分程度。
参考文献
 
第 10 回 実施日 
事前学習
第10章195-197頁、を読んでください。課題:理解が深まる学びの本質について考えてください。30分程度。
授業内容
後半の目標は、「学ぶ内容にかかわらずに、学び方には一定の法則があること」を自得できるか。また、そのことを教えることができるかにあります。
事後学習
自身の学びの本質を、説明できるか省察してください。30分程度。
参考文献
 
第 11 回 実施日 
事前学習
第11章240-244頁、をよんでおいてください。30分程度。
授業内容
対象の時間・空間スケールを変えたときに、同一現象に全く異なる解釈が成立することを、初学者に具体例を用いて伝えられるか。
事後学習
異なる対象に対して、同様のアプローチができるかどうか、省察してください。30分程度。
参考文献
 
第 12 回 実施日 
事前学習
第12章250-253頁、を読んでください。30分程度。
授業内容
前半で学んだ内容の何かと関連づけられますか。学習の転移について、実践できることを目指します。
事後学習
異なる学びの繋がりについて、どのようにすれば捉えることができるか省察してください。30分程度。
参考文献
 
第 13 回 実施日 
事前学習
第13章289-292頁、を読んでください。課題:起源問題について、みなさんの考えをまとめてください。30分程度。
授業内容
課題について、発表してもらいます。学習、理解、他者に教える、その観点と起源問題について論じてください。その後に、統一的な観点を提示します。
事後学習
自身の学び方を学び直す、メタ学習を意識してみてください。30分程度。
参考文献
 
第 14 回 実施日 
事前学習
第14章333-335頁、を読んでください。課題:学びの在り方について、みなさんの考えをまとめてください。30分程度。
授業内容
異なる見解をいかにして、共存できるか。みなさんと対話を重ねてみたいと思います。
事後学習
考えていることと実践できること、そのギャップがあるとき、みなさんはどうしますか。30分程度。
参考文献
 
第 15 回 実施日 
事前学習
課題:本授業の内容を振り返り、印象に残ったポイントについて、共感できるところと理解ができないところについて、まとめてください。30分程度。
授業内容
各自の課題発表に基づいて、学習・教育の本質的基盤について対話します。
事後学習
後期に向けて、発展可能性を意識的に検討してください。30分程度。
参考文献
 
【到達目標】

 数学教育に関する諸概念を学び、高い専門性とそれに基づく実践とを両立させることで、これからの多様な時代に応じたきめ細かい指導ができる。

【ディプロマ・ポリシー】

(R5-)
関連するディプロマ・ポリシー=DP7④:【数理教育】  数学教育に関する諸概念を学び、高い専門性とそれに基づく実践とを両立させることで、これからの多様な時代に応じたきめ細かい指導ができる。

【授業形態】

 講義。課題についてのプレゼンテーションに基づき、双方向的かつ学生横断的に議論を展開する。その展開が、想定内から想定外に展開するとき、その本質を見出すことを新たな課題として、クラス全体で討論を行う。生きた躍動感が教室に充満することを体験したい。オンラインに授業となる場合がある。

【教科書】

 村瀬雅俊・村瀬智子『歴史としての生命 増補版ー自己・非自己循環理論の構築』ナカニシヤ出版、1-428頁、2022年3月31日、京都大学創立125周年記念出版

【注文書籍】
書名歴史としての生命 増補版ー自己・非自己循環理論の構築著者名村瀬雅俊・村瀬智子出版社ナカニシヤ出版価格¥4,180ISBN978-4779516627備考 
【参考書】

 山極壽一・村瀬雅俊・西平直 編著、『未来創成学の展望 : 逆説・非連続・普遍性に挑む』ナカニシヤ出版、1-349頁
 Kazuo Nishimura, Masatoshi Murase, Kazuyoshi Yoshimura, Edited Book, Creative Complex Systems, Springer-Nature, pp.1-429

【成績評価の方法】

課題・レポート提出 100%
日本人の優れた点は、調和と循環に基づく持続性と永続性にあります。それは、問題や教科の個別性を超えて、神道や武道に体現されているように、日本伝統精神に数千年続いてきた「生きた過程」です。すなわち、神道の教えがそうであるように、学びの本質は自身の感性を大切にして、自然やこころに感じられることを実践することに尽きます。教科書(経典)を盲目的に覚えるのではなく、また、学習を強要されることもない、自律性・自主性・能動性が求められるのです。

【成績評価の基準】

授業内容をほぼ完全に理解し、説明できる。………90~100 点
授業内容を十分に理解し、説明できる。……………80~89 点
授業内容の基幹部分を理解し、説明できる。………70~79 点
授業内容の最低限の部分を理解し、説明できる。…60~69 点
60 点以上を合格とする。

【受講学生への要望】

 教室での学び、一人での学び集団での学びを通して、教えることの本質が自得できることを目指してください。学ぶことは教えること、逆に、教えることは学ぶことなのです。さらに、他者との競争ではなく他者のと共創こそ、本学の建学精神・理念に合致する教学の在り方です。

【履修注意】

 みなさんそれぞれが、主体的・意欲的に学び合い・教え合うことを目指しましょう。それは、チームプレーを重視するスポーツや「遊び」の本質でもあるのです。